ガラスの分類
ガラスの豆知識

~ビール瓶から宇宙ロケットまで、豊かな文明を支える「ガラス」~
一言にガラスと言っても、様々な種類があるのをご存知でしょうか?実はガラスというのは、窓ガラスやコップなど身近なものから、半導体や光ファイバーの部品など目に見えないところまで、非常に幅広い用途で使われています。あらためてガラスの分類を整理してみましょう。
ガラスとは?
そもそもガラスとは一体何からできているのでしょうか?簡単に言ってしまうと、ガラスは「砂」からできています。あまり聞きなれないかもしれませんが、珪砂(ケイシャ)という砂がガラスの主原料となります。この珪砂を1700度以上の高温で溶かし、成型してガラスが作られます(生成の過程でソーダ灰や石灰が使われることもあります)。
ガラスの種類
ガラスの種類は大きく分けると4種類に分類されます。「ソーダ石灰ガラス」「鉛ガラス」「ホウケイ酸ガラス」「石英ガラス」の4つです。どれもあまり聞きなれない名前ですよね。それぞれ順に見ていきましょう。
1.ソーダ石灰ガラス
これは我々にとって最もポピュラーなガラスです。家庭の窓ガラスやコップ、瓶類に使われています。ソーダガラスなどとも呼ばれていて、現在最も広く利用されているガラスです。量産型のガラスと考えれば分かりやすいかと思います。急激な温度差が生じると割れてしまうという特徴があります。
2.鉛ガラス
鉛ガラスは別名で「クリスタルガラス」とも呼ばれています。酸化鉛を含んでおり、軟らかくカットしやすいのが特徴です。光学機器のレンズやシャンデリア、高級グラスなどに使われています。ガラス細工で世界的に有名なスワロフスキーの製品も、鉛ガラスで作られています。ちなみにスワロフスキーのクリスタルガラスは、酸化鉛の含有量が通常のクリスタルガラスよりも多く(通常が24%程度に対して最低でも32%も含有)、そのため光の反射具合によってガラスが虹色に見えたりします。
ホウケイ酸ガラス
ホウケイ酸ガラスはホウ酸を混ぜて生成されたガラスで、耐熱性・耐薬品性に優れているのが特徴です。用途としては理化学器具(フラスコや試験管)や台所用品などに使われています。学校の理科室や料理器具などで多く見られるので、比較的なじみ深いかもしれませんね。耐熱ではない普通のガラスコップなどはホウケイ酸ガラスではないものが多いので、加熱したり熱いものを入れると割れてしまうことがあるのでご注意ください。
石英ガラス
石英というのは二酸化ケイ素が結晶してできた鉱石で、特に透明度の高いものは「水晶」と呼ばれます。石英ガラスはその名の通り石英から生成されるガラスで、二酸化ケイ素の純度の高いものを指します。ホウケイ酸ガラス以上に耐熱性・耐薬品性に優れており、最高位の医療・理化学用ガラスとして使われていますが、価格も非常に高価です。その他にも光ファイバーや半導体の部品、宇宙ロケットの窓ガラス、天文台の望遠鏡などに使われています。石英ガラスは最近では電子データの記憶媒体(ストレージ)としての活用も研究されており、非常に劣化しにくいことから数億年間データの保存が可能と言われています。文化遺産や歴史的公文書などのデータを長期保管する新技術としても期待されています。
以上、ガラスの分類をご紹介しましたが、少しガラスに対するイメージも変わったのではないでしょうか?私たちが日常使っているガラスでも様々な種類があり、一方で最先端テクノロジーの各分野でも、広くガラス素材が使われていることを知って頂けたかと思います。あらためて考えると、ガラスって本当にすごい素材ですよね。