ガラスの存在をも忘れさせる「低反射ガラス」
ガラスの種類
ガラスの豆知識

ガラスというのは、光を透過させると同時に反射もしています。
夜に明るい部屋からガラス越しに外を見ると、部屋の明かりがガラスに反射して外が見えづらくなりますよね。
綺麗な夜景を楽しみたい時などは、そういったガラスへの光の反射が邪魔に感じるのではないでしょうか。
そんな悩みを解消してくれるのが「低反射ガラス」。
低反射ガラスとは、ガラスの表面に特殊な多層コーティングを施すことで、光の反射を抑えたガラスです。
一般的なフロートガラスの反射率が8%程度なのに対して、低反射ガラスは約0.8%にまで抑えることができます。
低反射ガラスは一見すると普通のガラスとまったく同じ見た目ですが、通常だとガラスに反射してしまいがちな蛍光灯の光などが映り込みにくくなっています。
ですので、路面店のショーウィンドウ、美術館や博物館の展示ケース、自動車のショールーム、時計のカバーガラスなど、様々な映り込みを抑えたい場所で利用されています。
2017年にリニューアルオープンした明治神宮の「CAFE’杜のテラス」という休憩所では、窓ガラスに低反射ガラス(AGC社の「クリアサイト」)が採用されています。
低反射ガラスを使うことで非常に視界がクリアになり、建物内に居ながら、森と一体となっているような感覚が得られるとのことです。
参照:明治神宮文化館 CAFE 杜のテラス|低反射ガラス クリアサイト|旭硝子 のGlassPlaza
低反射ガラスを利用する際の注意点としては、強化ガラスにすることができない点です。多層コーティングをしている関係上、強化加工ができないのです。
そのかわり、合わせガラスにすることは可能です。ですので、建物の1階など、防犯や安全性に配慮しなければならない場所でも低反射ガラスを使用することができます。
あとは、低反射ガラスは「ガラスそのもの」が見えにくくなります。そこにガラスがあることに気づかずに人がぶつかってしまうということも十分にありえます。
「存在感がない」ことが存在意義である、低反射ガラスはそんなガラスと言えるでしょう。